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食品加工工場の選び方|新規ブランド立ち上げで失敗しない5つのポイント

「自分のアイデアを形にして、食品ブランドを立ち上げたい」



そう思い立ったとき、最初にぶつかる壁のひとつが“どこで、どう作るか”。

食品の製造を委託できる加工工場を探してみたものの、衛生管理や対応ロット、コストなど気になることが多く、「どこにお願いすればいいのか分からない…」と悩む方は少なくありません。

この記事では、これから食品加工工場を探す方に向けて、はじめてでも安心して依頼できる工場の選び方を分かりやすく解説します。

大切なブランドづくりを成功に導くために、ぜひ参考にしてみてください。

食品加工工場とは?はじめての人でもわかる基礎知識

食品加工工場と聞いて、どんな場所を思い浮かべますか?
「なんとなくイメージはあるけれど、実際にどんな工程で製造されているのかはよく分からない」という方も多いかもしれません。

このセクションでは、食品加工の基本的なことや、工場で行われる主な工程について、初めての方にもわかりやすくご紹介します。
自社の商品づくりを加工工場に依頼する際に役立つ知識を、ぜひこの機会に押さえておきましょう。

そもそも食品加工とは?

食品加工とは、農作物や畜産物、水産物などの原材料を加工し、私たちが日常的に口にする**“食品”という形に仕上げる作業**のことを指します。
たとえば、野菜をカットして冷凍保存したり、調味料を加えて加熱調理したり、瓶やパウチに詰めて長期保存できるようにすることも食品加工の一部です。

この食品加工には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

一次加工:洗浄・カット・乾燥など、素材の形を残したまま行う加工(例:冷凍カット野菜、精米など)

二次加工:味付けや加熱、包装などを加えた、完成品として販売される加工(例:レトルト食品、惣菜、ジャムなど)

ブランド商品の開発・販売を目指す場合、多くのケースで必要になるのがこの「二次加工」です。そして、その工程を担うのが「食品加工工場」となります。

食品加工工場の主な工程

食品加工工場では、商品ごとに多少異なる部分はありますが、一般的には以下のような流れで製造が行われます。

①原料の入荷・検査

契約農家や市場などから仕入れた原材料を、異物や品質などの基準に従ってチェックします。


②前処理(洗浄・カットなど)

加工に向けて、原材料の下処理を行います。


③調理・調合

レシピに基づき、味付け・加熱などの加工を実施。レトルトや冷凍食品、調味料などで重要な工程です。


④充填・包装

完成した製品を容器やパッケージに詰め、密封します。


⑤殺菌・冷却処理

製品の安全性・保存性を高めるため、加熱殺菌や急速冷却を行います。


⑥検査(異物検査・重量チェックなど)

X線探知機や金属探知機を使って異物の混入を確認したり、製品の重さを検査します。


⑦保管・出荷

冷蔵・冷凍庫や保管室にて製品を一時保管後、出荷されます。


このように、衛生・品質管理を徹底しながら、多くの工程を経て製品が作られていくのが食品加工工場です。
工場によって得意な加工方法や対応できる製品ジャンルは異なるため、目的や商品特性に応じた工場選びが重要になります。

食品加工工場の選び方|失敗しないための5つのチェックポイント

数多くの食品加工工場の中から、どこをパートナーとして選ぶかは、ブランドの立ち上げや商品のクオリティに大きく影響します。
特に初めて依頼する場合、「何を基準に選べばいいのか分からない」という声もよく聞かれます。

ここでは、後悔しない工場選びのために押さえておきたい5つのチェックポイントをご紹介します。
それぞれの視点で比較・検討することで、自社に合った工場が見つけやすくなります。

1. 衛生管理・認証体制の有無(HACCP・GMP・ISOなど)

食品を扱う以上、衛生管理の体制が整っているかどうかは絶対に外せないポイントです。
HACCP(ハサップ)やGMP(適正製造規範)、ISOなどの第三者認証を取得しているかを確認することで、一定レベルの衛生基準が守られているかを判断できます。

また、作業員の衛生対策(手洗い・ユニフォーム・入室手順など)や施設の清掃体制、異物混入防止策についても、ヒアリングしておくと安心です。

2. 製造設備・対応できる加工技術

商品によって必要な加工方法や設備は異なります。
たとえば「真空調理」「直火焙煎」「冷凍保存」など、製品特性に合った加工技術を持っているかどうかは重要な選定基準です。

また、自動充填機・加熱殺菌装置・X線検査機などの設備が充実しているかどうかも、品質や生産効率に直結します。
あらかじめどのような加工が可能なのかを具体的に確認し、自社の製品開発にマッチするかを見極めましょう。

3. 小ロット・試作対応が可能かどうか

スタートアップやブランド立ち上げ時は、「いきなり大量生産は難しい」というケースが多くあります。
そのため、小ロットでの対応や試作が可能かどうかは非常に大切なポイントです。

小ロット生産に対応してくれる工場は、柔軟性が高く、丁寧に付き合ってくれる傾向があります。
初期投資を抑えながら商品開発を進めたい場合には、こうした対応力のある工場を選ぶことがリスク軽減につながります。

4. 製造工程を開示してくれるか(透明性)

信頼できる工場は、製造工程についてオープンな姿勢で説明してくれることが多いです。
原料受け入れから最終検査、出荷までの流れをきちんと開示してくれる工場であれば、安心して依頼することができます。

実際に見学できるかどうか、詳細なフローや工程表を共有してもらえるかも、信頼性のひとつの目安です。
不明点をそのままにせず、遠慮なく質問できる関係性を築けるかどうかも、重要な視点です。

5. 提案力・コミュニケーション力

ただ「言われた通りに作る」だけでなく、商品設計や改善提案にも積極的に関わってくれるかどうかは、長期的な視点でとても重要です。
「こんな味にしたい」「このような食感にしたい」といった要望に対し、プロとしての視点でアドバイスをくれる工場は、まさに“共創”できるパートナーといえます。

また、やり取りがスムーズか、担当者との相性はどうかといったコミュニケーション面も無視できません。
信頼関係を築けるかどうかは、スピード感やトラブル対応の質にも直結します。

依頼前に準備しておきたいこと

食品加工工場を選ぶ際、どんなに良い工場と出会えたとしても、依頼者側の準備が不十分だとスムーズな進行が難しくなります。
特に新規事業の場合は「まだ漠然としていて、何を伝えればいいか分からない…」という方も多いはず。

このセクションでは、工場との打ち合わせや相談をスムーズに進めるために、あらかじめ準備しておきたい3つの項目をご紹介します。

最低限まとめておくべき情報(商品概要・原料・想定ロットなど)

まずは、自社が作りたい商品の基本情報を整理しておくことが重要です。
以下のような内容を、できる範囲でまとめておくと、工場側も具体的な提案や見積もりがしやすくなります。

  • ・商品イメージ(例:○○風ソース/無添加スープ など)
  • ・原材料の指定があるかどうか(支給 or 調達)
  • ・味付け・食感・見た目の希望
  • ・賞味期限や保存方法の希望(常温/冷蔵/冷凍)
  • ・想定ロット(試作→小ロット→将来的には○○個/月)
  • ・販売方法・販路(店舗/EC/卸 など)

完璧でなくても構いませんが、方向性や優先事項が伝わると、工場側とのやり取りがスムーズになります。

費用感や納期の希望を明確にする

工場にとって、予算やスケジュール感は重要な判断材料のひとつです。
特に小ロットでの対応や初回試作には追加コストがかかることもあるため、あらかじめ希望価格帯や納期を伝えておくことで、ミスマッチを防ぐことができます。

以下のような内容を検討しておくとよいでしょう。

  • ・1商品あたりの希望単価/上限コスト
  • ・販売希望時期から逆算した製造スケジュール
  • ・繁忙期・閑散期におけるロット変動の可能性

予算が限られている場合でも、あらかじめ共有することで、工場側から「この条件ならこう調整できます」といった提案がもらえることもあります。

試作・サンプル製造の流れを確認する

本格的な製造を始める前に、「まずは試作品を作ってみたい」という方も多いはず。
そのため、工場が試作に対応しているか/どのような流れで進められるかを事前に確認しておくことはとても大切です。

たとえば以下のような項目をヒアリング・整理しておくと安心です。

  • ・試作の費用(1ロット○円〜など)
  • ・試作回数・修正対応の有無
  • ・試作品の納期(初回提出からどのくらいで届くか)
  • ・味・仕様のフィードバックの取り扱い方

また、試作段階でしっかりコミュニケーションが取れる工場は、量産段階でも柔軟に対応してくれることが多いため、ここは見極めポイントでもあります。

まとめ|食品加工工場は「モノづくりのパートナー」として選ぶ

食品加工工場の選定は、単に“製造をお願いする相手”を探すというよりも、自社ブランドの成長を一緒に支えてくれる“パートナー”を見つけることに他なりません。

衛生管理の体制や設備の充実度、小ロット対応の柔軟さ、そして何より“人として信頼できるか”という点は、実際にやり取りをして初めて見えてくる部分でもあります。

初めての依頼で不安に感じることもあるかもしれませんが、事前に情報を整理し、チェックポイントを押さえながら丁寧に選定していくことで、理想の商品を一緒に形にしてくれる工場ときっと出会えるはずです。

ブランドづくりの第一歩として、ぜひこの記事を参考に、納得のいくモノづくりパートナーを見つけてください。