FSSC22000の追加要求事項について詳しく解説
FSSC22000はISO22000、ISO/TS22002(前提条件)、追加要求事項の3つで構成する国際規格です。追加要求事項は、ISO22000の要求事項を補強する役割を担っていますが、具体的にどのような内容なのか気になる方もいらっしゃると思います。
この記事では、FSSC22000の追加要求事項の概要とフードチェーンカテゴリごとの要求事項の詳細について紹介いたします。
FFSSC22000の追加要求事項とは
FSSC22000の追加要求事項とは、企業と消費者を内外部の脅威(食品偽装やテロ攻撃など)から守るための要件です。追加要求事項を満たすことで、不測の食品事故や悪意のある者による異物や毒物混入などのトラブルを防ぎ、食品の安全をより確実に目指せる内容になっています。
FSSC22000の追加要求事項は、大きく3つに分けられます。
- ISO22000の要求事項を補強するもの
- 現在の食品安全のニーズを対応したもの
- 食品事故をキッカケに追加されたもの
「国際食品安全イニシアティブ(GFSI)」は、世界のどこかで重大な食品事故が発生した際、その対策のために要求事項を更新・改訂します。そして、FSSC22000はGFSI承認スキームであり、GFSIの要求事項との同等性を維持するために、FSSC22000も要求事項を追加します。追加要求事項には、「共通の追加要求事項」と「フードチェーンカテゴリごとの追加要求事項」の2つが存在します。
フードチェーンカテゴリ一覧と活動内容・基準文書について
下記の表は、FSSC22000の認証を取得できるフードチェーンカテゴリ一覧です。主に「食品製造(カテゴリC)」「ケータリング(カテゴリE)」「食品包装及び包装材の製造(カテゴリI)」の3カテゴリの企業からの認証取得が多いです。
カテゴリ | サブカテゴリ | 説明 | 含まれる活動 | 基準文書 |
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畜産 (カテゴリA) |
AI | 肉/乳/卵/蜂蜜のための畜産 | 食肉生産,卵の生産,ミルクの生産又は蜂蜜の生産に使用する動物の飼育(関連する農場での包装及び保管) | ISO 22000, ISO/TS 22002-3, FSSC 22000 追加要求事項 |
AII | 魚及び海産物の養殖 | 魚肉の生産に利用される魚及び海産物の飼育(関連する農場での包装及び保管) | ISO 22000, ISO/TS 22002-3, FSSC 22000 追加要求事項 |
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食品製造 (カテゴリC) |
CI | 腐敗しやすい動物性製品の加工 | 屠殺,除骨,中抜き,内蔵の除去,裁断,仕分け,洗浄,殺菌,整形,塩漬け,発酵,燻煙,冷凍,冷却,熱湯処理。 最終製品の例:魚,肉,鶏肉,卵,冷凍及び/又は冷蔵乳製品及び魚/海産物。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
CII | 腐敗しやすい植物性製品の加工 | 殻取り,乾燥,梱包,仕分け,洗浄,すすぎ洗い,流送,整形,薄切り,殺菌,焙煎,煮沸,皮むき,さや剥き,冷却,低温貯蔵,冷凍及び最終製品。 最終製品の例:生鮮果物,生鮮ジュース,野菜,穀物,ナッツ及び豆類,植物性素材(例えば大豆)による代用肉。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
|
CIII | 傷みやすい動物性及び植物性製品の加工(混合製品) | 混合,調理,梱包,アンサンブル冷却,低温貯蔵,冷却 最終製品は,例えば,混合製品,ピザ,ラザーニャ,サンドイッチ,ダンプリング,インスタント食品。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
|
CIV | 常温保存製品の加工 | 混合,調理,梱包,びん詰め,醸成,乾燥,絞り,製粉,ブレンド,燻煙,精製,配合,蒸留,乾燥,缶詰め,殺菌,減菌。 最終製品の例:缶詰製品,ビスケット,パン,スナック,オイル,飲料水,アルコール及びノンアルコール飲料,パスタ,小麦粉,砂糖,食塩,長期保存乳製品,マーガリン。 |
ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
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動物飼料の製造 (カテゴリD) |
DI | 飼料の製造 | 加工,半加工,未加工を問わず,家畜に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-6:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
DIIa | ペットフードの製造(犬・猫専用) | 加工,半加工,未加工を問わず,食品生産用でない犬や猫に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 例:ドライまたはウェットのペットフード,おやつ,冷却,低温保存,冷凍及び常温保存。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
|
DIIb | ペットフードの製造(犬・猫以外のペット用) | 加工,半加工,未加工を問わず,食品生産用でない犬や猫以外の動物に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 例:乾燥又は水分のあるペットフード,おやつ,冷却,低温保存,冷凍及び常温保存。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-6:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
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ケータリング (カテゴリE) |
EI | ケータリング | レストラン,ホテル,職場のカフェテリアでの活動,遠く離れた場所での食品の取扱い,消費者のもとへの直接の輸送及び配達。コーヒーショップ,キッチンカー,イベントケーリングのための活動。 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-2:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
小売及び卸売 (カテゴリF) |
FI | 小売/卸売 | 活動:食品の受取り,選別,保管,ディスプレイ,発送,輸送及び配達。 例:スーパーマーケット,大型スーパー,コンビニエンスストア,現金店頭売り,大型/会員制店舗,レストランへの卸売販売。 |
ISO 22000:2018, BSI/PAS 221:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
輸送及び保管 (カテゴリG) |
GI | 傷みやすい食品及び飼料の輸送及び保管ービスの提供 | 冷却,低温又は冷凍温度での輸送及び保管。パック製品の再包装,冷凍及び解凍のような追加活動。 | ISO 22000:2018, NEN/NTA 8069:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
GII | 常温保存食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供 | 輸送及び保管。パック製品の再包装ような追加活動。 | ISO 22000:2018, NEN/NTA 8069:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
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食品包装及び包装材の製造 (カテゴリI) |
I | 食品包装及び包装材の製造 | プラスチック,段ボール,紙,金属,ガラス,木材及び,食品/飼料産業で包装材として使用する他の材料のための全製造活動。 例:瓶,箱,広口瓶,樽,コルク,缶,テープ,プラスチックの細片のような包装材料を閉じるための器具,又は食品/飼料包装材の一部と製造業者が証明することができるときの他の材料のような食品に直接触れるラベルの製造。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-4:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
生化学製品の製造 (カテゴリK) |
K | 生化学製品の製造 | 常温,低温及び冷凍温度の全製品の混合,調理,梱包,蒸留,乾燥,缶詰め,減菌。 最終製品:例えば,食品及び飼料添加物,ビタミン,ミネラル, バイオカルチャー,人工香味料,酵素及び加工助剤,成分としてのガス及び/又は充填ガス。 |
ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
畜産(カテゴリA)
サブカテゴリ | AI |
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説明 | 肉/乳/卵/蜂蜜のための畜産 |
含まれる活動 | 食肉生産,卵の生産,ミルクの生産又は蜂蜜の生産に使用する動物の飼育(関連する農場での包装及び保管) |
基準文書 | ISO 22000, ISO/TS 22002-3, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | AII |
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説明 | 魚及び海産物の養殖 |
含まれる活動 | 魚肉の生産に利用される魚及び海産物の飼育(関連する農場での包装及び保管) |
基準文書 | ISO 22000, ISO/TS 22002-3, FSSC 22000 追加要求事項 |
食品製造(カテゴリC)
サブカテゴリ | CI |
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説明 | 腐敗しやすい動物性製品の加工 |
含まれる活動 | 屠殺,除骨,中抜き,内蔵の除去,裁断,仕分け,洗浄,殺菌,整形,塩漬け,発酵,燻煙,冷凍,冷却,熱湯処理。 最終製品の例:魚,肉,鶏肉,卵,冷凍及び/又は冷蔵乳製品及び魚/海産物。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | CII |
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説明 | 腐敗しやすい植物性製品の加工 |
含まれる活動 | 殻取り,乾燥,梱包,仕分け,洗浄,すすぎ洗い,流送,整形,薄切り,殺菌,焙煎,煮沸,皮むき,さや剥き,冷却,低温貯蔵,冷凍及び最終製品。 最終製品の例:生鮮果物,生鮮ジュース,野菜,穀物,ナッツ及び豆類,植物性素材(例えば大豆)による代用肉。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | CIII |
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説明 | 傷みやすい動物性及び植物性製品の加工(混合製品) |
含まれる活動 | 混合,調理,梱包,アンサンブル冷却,低温貯蔵,冷却 最終製品は,例えば,混合製品,ピザ,ラザーニャ,サンドイッチ,ダンプリング,インスタント食品。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | CIV |
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説明 | 常温保存製品の加工 |
含まれる活動 | 混合,調理,梱包,びん詰め,醸成,乾燥,絞り,製粉,ブレンド,燻煙,精製,配合,蒸留,乾燥,缶詰め,殺菌,減菌。 最終製品の例:缶詰製品,ビスケット,パン,スナック,オイル,飲料水,アルコール及びノンアルコール飲料,パスタ,小麦粉,砂糖,食塩,長期保存乳製品,マーガリン。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
動物飼料の製造(カテゴリD)
サブカテゴリ | DI |
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説明 | 飼料の製造 |
含まれる活動 | 加工,半加工,未加工を問わず,家畜に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-6:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | DIIa |
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説明 | ペットフードの製造(犬・猫専用) |
含まれる活動 | 加工,半加工,未加工を問わず,食品生産用でない犬や猫に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 例:ドライまたはウェットのペットフード,おやつ,冷却,低温保存,冷凍及び常温保存。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | DIIb |
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説明 | ペットフードの製造(犬・猫以外のペット用) |
含まれる活動 | 加工,半加工,未加工を問わず,食品生産用でない犬や猫以外の動物に与えるように意図された単一又は複数製品の製造 例:乾燥又は水分のあるペットフード,おやつ,冷却,低温保存,冷凍及び常温保存。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-6:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
ケータリング(カテゴリE)
サブカテゴリ | EI |
---|---|
説明 | ケータリング |
含まれる活動 | レストラン,ホテル,職場のカフェテリアでの活動,遠く離れた場所での食品の取扱い,消費者のもとへの直接の輸送及び配達。コーヒーショップ,キッチンカー,イベントケーリングのための活動。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-2:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
小売及び卸売(カテゴリF)
サブカテゴリ | FI |
---|---|
説明 | 小売/卸売 |
含まれる活動 | 活動:食品の受取り,選別,保管,ディスプレイ,発送,輸送及び配達。 例:スーパーマーケット,大型スーパー,コンビニエンスストア,現金店頭売り,大型/会員制店舗,レストランへの卸売販売。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, BSI/PAS 221:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
輸送及び保管(カテゴリG)
サブカテゴリ | GI |
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説明 | 傷みやすい食品及び飼料の輸送及び保管ービスの提供 |
含まれる活動 | 冷却,低温又は冷凍温度での輸送及び保管。パック製品の再包装,冷凍及び解凍のような追加活動。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, NEN/NTA 8069:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
サブカテゴリ | GII |
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説明 | 常温保存食品及び飼料の輸送及び保管サービスの提供 |
含まれる活動 | 輸送及び保管。パック製品の再包装ような追加活動。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, NEN/NTA 8069:2016, FSSC 22000 追加要求事項 |
食品包装及び包装材の製造(カテゴリI)
サブカテゴリ | I |
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説明 | 食品包装及び包装材の製造 |
含まれる活動 | プラスチック,段ボール,紙,金属,ガラス,木材及び,食品/飼料産業で包装材として使用する他の材料のための全製造活動。 例:瓶,箱,広口瓶,樽,コルク,缶,テープ,プラスチックの細片のような包装材料を閉じるための器具,又は食品/飼料包装材の一部と製造業者が証明することができるときの他の材料のような食品に直接触れるラベルの製造。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-4:2013, FSSC 22000 追加要求事項 |
生化学製品の製造(カテゴリK)
サブカテゴリ | K |
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説明 | 生化学製品の製造 |
含まれる活動 | 常温,低温及び冷凍温度の全製品の混合,調理,梱包,蒸留,乾燥,缶詰め,減菌。 最終製品:例えば,食品及び飼料添加物,ビタミン,ミネラル, バイオカルチャー,人工香味料,酵素及び加工助剤,成分としてのガス及び/又は充填ガス。 |
基準文書 | ISO 22000:2018, ISO/TS 22002-1:2009, FSSC 22000 追加要求事項 |
FSSC22000の追加要求事項(全共通)
ここでは、全フードチェーンカテゴリ共通の追加要求事項について紹介いたします。
製品のラベリング
ISO22000:2018の8.5.1.3(最終製品の特性)に加えて、最終製品が販売先の国に該当する全ての食品安全(アレルギー情報を含む)に関する法令・規制要求事項に従い、ラベルの適切な貼付を要求されています。
さらに、ラベルに表示されない場合でも、顧客や消費者が食品の安全性について信頼できる情報をいつでもウェブサイトなどから入手できるようにする必要があります。
食品防御(フードディフェンス)
食品防御(フードディフェンス)は、異物混入、悪意のある従業員や外部からのテロ行為などの脅威に対処し、食品安全を確保するための考え方や取り組みです。
潜在的なリスクを特定・評価し、重要な脅威に対する軽減策を考案・実行する必要があります。さらに、脅威に対する対策方法を文書化することが要求されています。
- 潜在的脅威の例
- 容易に越えられるフェンス
- 組織に恨みを持つ人材の採用
- 製品への故意的な毒物混入
- 問題が発生した際の組織内でのコミュニケーション不足
- 部外者の出入り
食品偽装の軽減
食品偽装は、2008年に中国で発生したメラミン混入事件や、2013年に欧州各地で発覚した馬肉を牛肉として表示した事件などを受けて、食品偽装が国際的な問題となったことを考慮して、要求事項に追加されました。
潜在的脆弱性を特定・評価し、軽減策を検討・実施する必要があります。同時に、脆弱性に対する対策方法を文書化することも求められています。
- 潜在的脆弱性の例
- 産地情報の不正表示
- 水増しの実施
- 表記の誤り
ロゴの使用
FSSC2200のロゴの使用が求められており、使用に関する詳細なガイドライン、範囲、カラーなどの規定に従うよう求められています。
保管及び倉庫管理
倉庫に保管されている商品を古いものから順番に出庫し、保管期間を最小限にし、商品の劣化を防ぐための管理方法(先入れ先出し法)と、使用期限や製造日に基づいて商品を順番に出庫する方法(使用期限順先出し法)を含む手順を確立・実施・維持する必要があります。
さらに、ISO/TS 22002-1:2009の16.2項(倉庫保管に関する要求事項)に加えて、製品の冷却や凍結に関連して、屠殺後の時間と温度を定義する特別な要求事項を規定する必要があります。
サービスの管理及び購買材料(共通部分)
ISO22000の7.1.6項(外部から提供されるプロセス、製品、またはサービスの管理)に追加して、外部サービスを使用して食品安全性の検証と妥当性の確認を行う場合、信頼性の高い試験施設で実施することが要求されています。また、その結果は再現性がある必要があります。
FSSC22000の追加要求事項(カテゴリ別)
ここでは、全フードチェーンカテゴリごとの追加要求事項について紹介いたします。
サービスの管理及び購買材料(カテゴリ別部分)
フードチェーンカテゴリーC,D,I,G,Kについては、サービスの管理及び購買材料について別途追加要求事項が適用されます。
ISO22000の7.1.6項(外部から提供されるプロセス、製品、またはサービスの管理)には、緊急時の調達に関する手順の文書化と準備が必要とされ、同様にISO22002-1の9.2項およびISO22002-4の4.6項には、製品仕様のレビュープロセスを確立・実施・維持する要件が求められています。
アレルゲンの管理
フードチェーンカテゴリC, E, FI,
G,I,Kが該当します。潜在的なアレルゲンのコンタミネーション(食品を製造・加工する際に微生物汚染や異物混入)防止のために、低減・除去するための管理方法の決定・実施を求められています。管理すべき品目は「えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生」で、管理推奨項目が「いか、さば、大豆、牛肉、バナナ」などです。
環境モニタリング
フードチェーンカテゴリC,
I,Kが該当します。病原菌の汚染度が高いものが、低いものに触れることで広がる汚染(クロスコンタミネーション)を防止するために、定期的なモニタリング活動が求められています。
製品の処方
フードチェーンカテゴリDが該当します。動物の健康に悪影響を及ぼす可能性のある成分の管理を求められています。
転送及び配達
フードチェーンカテゴリFIが該当します。輸送、配達時にクロスコンタミネーションが発生しないように求められています。
交差汚染を防止するためのハザード管理及び対策
フードチェーンカテゴリC,Iが該当します。
フードチェーンカテゴリCIは、動物が人間の消費に適したものであることを保証するために、係留場所(通常船や船舶を停泊や繋ぎ留めする場所)および内臓摘出時の検査プロセスのための特定の要求事項を持つことを求められています。
フードチェーンカテゴリIは、食品包装が機能的な効果をもたらす場合(例:保存期間の延長など)、所定の要求事項に備えることを求められています。
PRP検証
フードチェーンカテゴリC,D,G,I,Kが該当します。ISO22000:2018の8.8.1項に追加された要件では、生産環境と加工設備が定期的な現地調査やPRPチェック(5S活動など)を通じて適切な状態で維持されていることが求められています。現地調査とPRPチェックの頻度と内容は、リスクに基づいて定められたサンプリング基準に従う必要があり、また、関連する技術仕様書とも連携していなければなりません。
製品開発
フードチェーンカテゴリC,D,E,F,I,Kが該当します。新しい製品や製造工程の変更に関して、安全かつ合法的に製品生産をするために、製品の設計と開発手順を確立・実行・維持しなければなりません。
健康状態
フードチェーンカテゴリDが該当します。ISO/TS 22002-6 4.10.1項に加え、従業員の健康が生産業務に悪影響を及ぼさないことを保証する手順について準備する必要があります。
マルチサイト認証を有する組織の要求事
フードチェーンカテゴリA,E,FI,Gが該当します。中央機能と内部監査の要求事項が定められています。
中央機能の管理者は、内部監査員、内部監査審査技術者、およびFSMSに関与する主要な要素のために、十分なリソースが利用可能であり、それぞれの役割、責任、および要件が明確に定義されていることを確認しなければなりません。
また、内部監査に関して、マネジメントシステム、中央機能、および全ての拠点を対象とする中央機能によって、内部監査の手順とプログラムが確立されていることを求められています。内部監査員は監査分野から独立しており、サイトレベル(特定の目的に使う場所ごと)での公平性を確保するために、中央機能によって任命しなければなりません。
その他、監査頻度や内部監査員の要件、トレーニングについての規定がされています。
まとめ
FSSC22000は、食品安全をより確実に実現するために、フードチェーンカテゴリごとに具体的な要件が詳細に規定されている規格です。従って、ISO22000よりも厳格な運用が必要です。ただ、FSSC22000の追加要求事項をしっかり遵守することで、高い水準の食品安全を確保でき、大規模な取引にも役立つなど、多くのメリットを得られます。